Column コラム

2025.01.25

病院の業務を効率化するにはどうすればいい?業務効率化のメリットや実現するためのポイントなど解説

病院の業務を効率化するにはどうすればいい?業務効率化のメリットや実現するためのポイントなど解説

病院の業務には患者様への応対や治療・看護ケアの提供、レセプト業務に代表される医療事務などさまざまなものがあります。各種業務が円滑に進まないと医療の質の低下につながるため、病院の業務効率化の必要性を感じている方も多いのではないでしょうか。

病院の業務効率化を実現するには、病院が抱える課題を分析して、業務効率化につながる適切な取り組みを導入することが大切です。

そこで今回は、病院に業務効率化が必要な理由を説明したうえで、病院が業務効率化をするメリットとポイントを具体的な取り組みも交えて解説します。

病院が業務効率化を進めるべき理由

病院が業務効率化を進めるべき理由

そもそも業務効率化とは、業務プロセスに発生している「ムリ・ムダ・ムラ」を解消して、業務を効率的できるよう改善することです。

業務プロセスのムリ・ムダ・ムラは下記のような状態を指します。

ムリ従業員や設備が持つ能力以上の過剰な業務負荷をかける状態
ムダ従業員や設備の能力に対して業務負荷が少ない状態
ムラムリとムダが混在していて、業務量や成果にバラつきがある状態

病院の業務プロセスでは、ムリはヒューマンエラーの発生、ムダは経営コストが増大する原因です。ムラは医療の質の低下や病床管理の非効率化につながります。

病院が業務効率化を進めるべき理由は、病院の業務プロセスにムリ・ムダ・ムラが発生しやすいためです。

以下では病院の業務効率化が必要な背景を、3つのポイントに分けて説明します。

医療従事者の人手不足が慢性化している

厚生労働省によると、医師や看護師の人数は増加し続けています。
それにもかかわらず、病院などの医療機関では医療従事者の人手不足が慢性化している状況です。

参考:
厚生労働省ホームページ「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
厚生労働省ホームページ「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況

医療従事者の人手不足は、少子高齢化が主な原因とされています。医療・福祉業界に就業する労働者人口が減少し、医療や介護を必要とする高齢者が増えると、医療の需給バランスが大きく崩れるためです。

また、就業環境の良い都市部の病院に医師が多く集まり、地方の病院において医師を確保しにくくなる「医師の地域偏在」という問題もあります。

医療従事者の人手不足に悩む病院は、求人募集などによる人材獲得を進めつつ、限られた人員でも医療業務をおこなえるように業務効率化を図る必要があるでしょう。

医療従事者に求められる業務が複雑化している

医療機関に求められる役割の増加や医療技術の進歩により、医療従事者の業務は高度化・複雑化しています。

たとえば医師は、診療情報の記録や主治医意見書の作成のほか、電子カルテの入力や新しい医療機器の操作を習得する必要があるなど負担の大きい業務です。また、患者様や家族への病状説明も業務負担となる可能性があります。

看護師の場合は、看護記録への記入や交代時の申し送り、医療用品の補充や点検などの業務が負担となるでしょう。

医師にとってのコア業務は患者様への治療の提供であり、看護師のコア業務は患者様の看護と医師のサポートです。複雑化した業務によって負担がかかっている状態では医師・看護師がコア業務に集中できないため、業務効率化を進めてコア業務に集中できる環境を作る必要があります。

働き方改革への対応が求められている

医療機関において働き方改革への対応が求められていることも、病院が業務効率化を進めるべき理由の1つです。

2024年4月には働き方改革関連法にもとづく医師の働き方改革が導入され、医師の時間外労働に年960時間の上限が設けられました。従来、医師の残業や休日出勤に頼って患者様に医療を提供していた病院は、医師の働き方改革の導入後は経営が難しくなることが考えられます。

医師が時間外労働をしなくても経営できる体制をつくるには、業務効率化が必要です。業務効率化によって業務のムリやムダを減らすことで、働き方改革に対応した就業環境を構築できます。

病院の業務効率化による4つのメリット

病院の業務効率化による4つのメリット

業務効率化の取り組みは、医療現場で働く医師従事者の働きやすさにつながることはもちろん、病院の経営にとってもメリットがあります。

以下では病院が業務効率化を進めることで得られる4つのメリットを解説します。

業務負担を軽減できる

病院が業務効率化を進めると、業務のムリ・ムダ・ムラが発生しにくくなり、医療従事者の業務負担を軽減できます。業務を効率的に進められるため、人手不足の状態でもある程度は医療業務を遂行しやすくなるでしょう。

人手不足を解消する方法としては求人募集などによる人材獲得が有効であるものの、優秀な医療人材は多くの医療機関が求めているため獲得は容易ではありません。獲得後には人材の教育をおこなう必要があり、医療現場で活躍してくれるまで時間がかかる点もネックです。

業務効率化を進めて人手不足の状態でも医療業務を遂行しやすくすると、人材の獲得・教育にかかる時間をカバーすることが可能です。

また、業務を効率的に遂行できる職場環境では、人手不足が解消された後も、より高い業務効率を発揮できるでしょう。

医療従事者の離職を防止できる

業務効率化によって業務負担を軽減することには、医療従事者の離職を防止できるメリットもあります。

業務効率が悪く、1人あたりの業務負担が大きい医療現場は、医療従事者が働きにくさを感じ離職が発生しやすい労働環境です。医療従事者が離職すると、残された医療従事者にはより多くの業務負担がのしかかり、さらに離職を招く悪循環が起こり得ます。

医療従事者の離職が続くと患者様に適切な医療を提供できなくなるため、離職をいかに防止するかは病院経営上の大きな課題です。

業務効率化の取り組みを進めると、業務のムリ・ムダ・ムラがなくなって働きやすい労働環境をつくれるため、医療従事者の離職を防止できるでしょう。せっかく獲得した人材が早期離職するケースも発生しにくくなり、病院経営を安定させることにつながります。

ヒューマンエラーの発生を防ぎやすくなる

病院が業務効率化に成功すると、医療従事者の能力を超えた業務を割り振らなくなるため、ヒューマンエラーの発生を防ぎやすくなります。

医療従事者1人あたりの業務負担が多い医療現場は、カルテへの記入漏れから重大な医療過誤まで、さまざまなヒューマンエラーが発生しやすい環境といえます。データの入力ミスは後から修正ができるものの、医療過誤は患者様の健康を害するおそれがあります。

病院は人命を預かる機関であり、患者様の健康にかかわるヒューマンエラーの発生は極力防がなければなりません。

業務効率化の取り組みを進める過程では、医療従事者1人あたりの業務量の把握や、効率的な業務に必要なシステムの導入がおこわれます。医療従事者が働きやすい労働環境が整備されることでヒューマンエラーの発生が抑制され、患者様に質の高い医療を提供できるようになるでしょう。

経費削減効果が期待できる

病院が業務効率化を進めることには、経費削減効果が期待できるメリットもあります。

業務効率が低い状態では、業務にかける人的リソースが本来よりも多くなります。たとえば「本来は4人体制で済む事務作業に5人以上の人員が必要になる」「医師が毎日4時間の残業をしなければ業務が終わらない」というケースが考えられるでしょう。

業務効率化を進めれば、従来よりも少ない人的リソースで業務を遂行できるようになります。そのため、人件費の増大や残業代の発生を抑えることが可能です。

業務効率化は短期的な視点では取り組みの初期費用・運用費用がかかるものの、長期的な視点で見たときには経費削減効果が期待できます。

病院の業務効率化を実現するためのポイント

病院の業務効率化を実現するためのポイント

病院が業務効率化を実現するには、業務効率の向上につながる具体的な取り組みを導入する必要があります。

業務効率化の取り組みにはいくつかの種類があり、取り組みごとに期待できる効果や導入難易度が異なるため、ポイントを押さえて選ぶことが重要です。

最後に、病院の業務効率化を進めるときに押さえるべき5つのポイントを解説します。

業務の見える化をする

病院の業務効率化を進めるためには業務の見える化をして、医療従事者の負担になっている業務を把握する必要があります。

業務の見える化では、「どの業務が」「どのタイミングで」「どのくらいの量」「誰に対して」発生しているかを分析しましょう。たとえば「カルテ作成業務が」「患者様への診療時に」「1件あたり5分で1日40人」「看護師が作成している」というように分析します。

病院内ではさまざまな業務が存在するため、業務ごとに見える化を進める際はマニュアルを作成することがおすすめです。マニュアルを作成すると業務についての詳しい情報が視覚的に分かり、業務効率の低下につながっている業務プロセスを明確化できます。

また、業務内容や業務量などをあらかじめ把握することで、取り組みの効果を評価・分析しやすくなり、業務効率化の取り組みをさらに改善できるメリットもあります。

事務作業の負担を軽減する

病院ではカルテ作成・管理をはじめとした多くの事務作業が発生していて、医療従事者にとって大きな業務負担となっている傾向があります。事務作業の負担を軽減することで、医療従事者はより重要なコア業務に集中できるようになり、業務効率化を実現できるでしょう。

事務作業の負担を軽減するには、電子カルテや診療予約システムの導入といった医療DXが代表的な取り組みです。医療DXを進めると自動的に病院内のペーパーレス化も促進されて、従来は紙書類で作成・管理をおこなっていた業務が効率化します。

ただし、医療DXは新しいシステムを導入する取り組みであり、システム導入のコストや医療従事者が操作に習熟するための時間と手間がかかります。医療DXにおいては、コスト面で長期的な運用ができて、かつIT技術に不慣れな方でも操作しやすいシステムを選ぶことが大切です。

接遇の改善を図る

接遇の改善を図ることも、重要な業務効率化の取り組みです。

病院など医療機関における接遇とは、患者様の気持ちに寄り添った応対・行動をすることを指します。接遇は患者様の病院に対する印象を左右し、患者満足度にもかかわる業務です。

接遇に問題がある病院では、患者様が病気や治療に抱いている不安を解消できません。患者様からのクレームも増えやすくなり、クレーム応対によって業務効率が低下します。

接遇の改善を図る方法としては、接遇に関するマニュアルの整備や、適切な接遇を学べる研修の実施が有効です。接遇の改善を図ることでクレーム対応などにかかるコストを抑えられると同時に、患者満足度の向上によって収益増加も期待できます。

他の医療機関との連携を強化する

中小規模の病院では人材・資金といった経営リソースの余力が少なく、コストのかかる業務効率化の取り組みを実施できないこともあります。経営リソースが少ない病院でも実践できる取り組みが、他の医療機関との連携です。

他の医療機関と連携することで、病院間で業務の共有や機能分化ができます。自院では対応が難しい疾患の患者様を専門性のある他院に紹介したり、反対に自院が得意とする領域の業務を引き受けたりができるでしょう。

他の医療機関との連携を強化する方法としては、電子カルテの共有や、地域包括ケアシステムへの参加が挙げられます。

医療業務代行サービスを活用する

医療業務代行サービスを活用することも、病院の業務効率化につながる取り組みの1つです。

医療業務代行サービスとは、病院などの医療機関がおこなっている業務の一部を外部の事業者に委託できるサービスのことです。自院での業務負担を軽減することで、医療従事者がコア業務に集中できるようになるでしょう。

医療業務代行サービスの例が、CT画像・MRI画像の読影を委託できる「遠隔画像診断サービス」です。遠隔画像診断サービスを利用すれば自院で実施する読影業務の件数を少なく抑えられて、放射線診断専門医の業務効率化を実現できます。

健診・検診を実施する病院は読影業務の件数が多くなりやすいため、遠隔画像診断サービスの利用を検討するとよいでしょう。

まとめ

病院の業務を効率化するにはどうすればいい?まとめ

病院は人手不足の慢性化や業務の複雑化といった課題があり、業務のムリ・ムダ・ムラが発生しやすい環境です。医療従事者の業務負担の増加や離職などの解決を目指すためにも、業務効率化を進めましょう。

業務効率化の取り組みは、紹介したようにさまざまな方法があります。まずは自院の課題を分析し、導入によって業務効率化が期待できる取り組みを選ぶことが大切です。

イリモトメディカルでは遠隔画像診断サービスを提供しています。健康診断などに伴う読影業務に課題を感じている医療機関の方は、ぜひイリモトメディカルにご相談ください。

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