Column コラム

2024.12.09

読影医が不足している現状と解決策について解説

読影医が不足している現状と解決策について解説

日本では、必要な検査数に対し、画像診断医(以下、読影医とします)の数が見合っていない現状が大きな問題だといわれています。各医療機関においても、在籍している読影医の業務過多や、読影医がなかなか採用できないなどの悩みを抱えているケースが多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、我が国で読影医が不足している現状や、読影医の業務内容などについて詳しく解説します。医療機関の読影医不足をサポートできる解決策についてもお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください。

読影医とは

読影医とは

読影医とは、画像所見から病気の有無や状態を評価する医師のことを指します。病院やクリニックに勤務する医師だけでなく、遠隔読影サービスを提供する企業に在籍する医師も含まれます。

読影医の主な役割は、レントゲンやCT、MRIなどの医療画像を読み解き、異常所見を見つけ出して、その解釈や鑑別診断をおこなうことです。これにより、各診療科の治療方針の決定に大きく貢献します。

読影医が不足している現状について

読影医が不足している現状について

我が国では読影医、特に放射線科専門医の不足が深刻な問題になっています。放射線科専門医が常駐する医療機関は全体の2割以下であり、医師全体に占める割合はわずか2%に過ぎません。

この状況下で、放射線科専門医1人あたりの業務量は多く、医療先進国と比較しても過剰な状況が続いています。また、CTやMRI検査の実施件数が年々増加している一方で、放射線科専門医の年間増加率は5%未満と低く、今後も検査数に見合った人員を確保することが難しいと予想されています。

特に地方や小規模な病院では、専門医が不在の場合も多く、読影業務を専門外の医師がおこなうケースも少なくありません。このような状況では画像診断の見落としが発生するリスクが高まり、最悪の場合、医療訴訟につながる可能性も出てしまいます。

読影医の不足は日本の医療業界が抱える深刻な課題の一つであり、早急な対策が求められています。

地方で医師不足が起きている原因については、以下の記事でも詳しく解説しています。都市部と地方における医師数の格差や、地方の医療機関の問題点についてもわかりやすく説明しているため、興味のある方はぜひご覧ください。

>>地方で医師不足にお困りの方へ。遠隔読影サービスがおすすめの理由を解説

読影医の業務内容

読影医の業務内容

読影医の業務内容は主に以下の3つに分類されます。

  • 患者の疾患や状態に適した撮影法を指示する
  • 撮影された画像から異常所見を見つけ出す
  • 追加の検査や推奨する治療法などを記載した画像診断報告書を作成する

これらの業務のうち、画像から異常所見を見つけ出す作業だけでも1件あたり14.6分程度必要とされています。質の高い業務を維持するためには、十分な時間と集中力が必要です。

また、医療機関のなかでも研修指定施設や大学病院では、指導体制が必要になるため、読影業務にかける時間がさらに多くなるでしょう。

さらに、CTなどの画像診断技術の進歩により、1回の検査で撮影される画像数が増え、読影医が読影しなければならない画像量が大幅に増加している現状でもあります。これにより、読影医の業務量は近年増大し、時間的な制約が厳しくなっているのです。

読影医は常に高度な専門知識と経験を活かしながら、正確かつ迅速な診断をすることが求められており、業務量の圧迫が課題です。

読影医不足の問題点

読影医不足の問題点

読影医の不足は、医療現場に深刻な影響を及ぼしています。具体的な問題点は以下の3つです。

  • 診断に適さない検査を提供してしまう
  • 疾患の診断が遅れる
  • 病変を見落としやすくなる

詳しく見ていきましょう。

診断に適さない検査を提供してしまう

読影医の不足により、業務時間に十分な時間が割けられないことから、検査方法の選択に誤りが生じる可能性があります。診断に適した検査を選択できないと正しい結論に至らないため、診断ミスにつながる恐れもあります。

さらに、適さない検査を実施することで、患者に余計な医療被ばくの影響を与える結果にもなりかねません。これは患者の安全性を脅かすだけでなく、医療資源の無駄遣いにもなるでしょう。

疾患の診断が遅れる

読影医の不足によって一人ひとりの業務が圧迫されると、診断が遅れ、疾患の早期発見も難しくなる可能性があります。読影医が十分な時間をかけて画像を精査できないことで、微細な異常所見を見逃す可能性が高まるからです。

特にがんのような早期発見が重要な疾患では、診断の遅れが適切な治療開始のタイミングを逃し、患者の生命予後や生活の質に大きな影響を与える可能性があります。がん検診では、目的である「がんの早期発見と早期治療による死亡率の削減」が達成できなくなることにもつながるでしょう。

病変を見落としやすくなる

読影医の不足によって読影業務に十分時間が割けられなくなり、念入りなチェックがおろそかになると、病変を見落としやすくなるでしょう。特に医師の専門領域外になるとさらにその可能性が高まります。

複数の専門医によるダブルチェックも重要な所見の見落としを防ぐうえで重要ですが、読影医不足が起こるとこのような体制を維持することが困難です。読影医の疲労や集中力の低下も、見落としのリスクを高める要因になります。

読影医不足の解決策

読影医不足の解決策

医療機関における読影医不足の解決策として、遠隔読影サービスの導入が注目されています。遠隔読影サービスとは、病院やクリニックなどで撮影した患者の医療画像(CT、MRI、X線など)を、ネットワークを介して外部の病院や企業の読影医に送信し、画像診断と読影レポート作成を依頼できるサービスです。

遠隔読影サービスを利用する際は、以下のような流れをとります。

  1. 医療機関で画像を撮影する
  2. 専用システムを使用して、暗号化した画像データや患者情報を依頼先に送信する
  3. 病院や企業の読影医が受信した画像を読影する
  4. 読影医が読影結果や推奨する追加検査、治療法を記載した画像診断レポートを作成する
  5. 画像診断レポートが医療機関に返送される
  6. 医療機関が受け取った画像診断レポートを診療に活用する

遠隔読影サービスを導入すると、医療機関は以下のようなメリットが得られます。

読影医不足による業務負担の軽減

遠隔読影サービスを利用することで、検査数と読影医数のバランスが取れない状況でも、読影の質を維持しながら効率的に診療を進められるようになります。読影医の確保が難しい地域でも、医療スタッフ全体の業務圧迫を減らすことが可能になるでしょう。

放射線科専門医や各診療科の医師による質の高い画像診断

遠隔読影サービスでは、高度な専門知識を持つ医師が読影をおこなうことが多いため、より信頼性の高い診断結果を得られる可能性があります。専門医が常駐していない医療機関にとっては大きなメリットになるでしょう。

地域間の医療格差の解消

都市部の医療機関と同レベルの画像診断を、地方や過疎地の医療機関でも受けられるようになります。仮に、離島の病院で撮影された医療画像でも、都市部の大学病院に送信することで、実績豊富な専門医による診断を受けることも可能になるのです。

医療機関の負担軽減

遠隔読影サービスを利用することで、医師やその他の医療スタッフの業務負担が軽減されます。これにより、緊急性の高い症例への対応など、他の重要な診療業務にも集中できるようになるでしょう。夜間や休日の緊急対応による負担も減らすことが可能です。

現在は、より精度の高い読影業務を提供するため、AIによる最新技術を利用した遠隔読影サービスも開発されています。AIを補助的に活用することで、読影の効率化や見落としの防止、早期発見の可能性向上など、さまざまな面での改善が期待されているのです。

遠隔読影サービスは読影医不足という課題に対する有効な解決策として、今後ますます重要性を増していくと考えられます。医療の質の向上と効率化、地域医療の改善に大きく貢献する可能性があり、日本の医療システムの未来を支える重要な要素となるでしょう。

遠隔読影のサービス内容は以下の記事に詳しく解説しています。サービスを比較するときの注意点や費用相場などもわかりやすく説明していますので、遠隔読影サービスに興味のある方は、ぜひご覧ください。

>>遠隔読影とは?選ぶ上での注意点・料金など分かりやすく解説

>>遠隔読影の比較基準とは?サービス内容・注意点など解説

>>遠隔読影の費用相場とは?価格や注意点など分かりやすく解説

まとめ

読影医が不足している現状や解決策について解説

この記事では、我が国で読影医が不足している現状や、その解決策について解説しました。 

  • 読影医の主な役割は、医療画像から異常所見を見つけ出し、解釈や鑑別診断をおこなって、各診療科の治療方針決定に貢献することである。
  • 放射線科専門医は、がんの放射線照射治療を専門とした医師で、診療放射線技師は放射線照射機器を使用した画像撮影や機器の管理をおこなう職種であるため、読影医とは異なる。
  • 我が国では読影医の不足が問題になっており、特に診療放射線技師は全ての医療機関の2割以下しか在籍していない。
  • 読影医の業務は医療画像の読影だけでなく、撮像法の指示や画像診断報告書の作成などもあてはまるため、1件の業務にあたり大幅に時間がかかる。
  • 我が国では読影医の不足によって、診断に適さない検査を患者に提供したり、疾患の判断が遅れたりする問題が生じている。また、病変を見落とすリスクも高まっている。
  • 読影医不足の解決策として、遠隔読影サービスが挙げられる。遠隔読影サービスを利用すると、読影医不足による業務負担が軽減したり、放射線科専門医や各診療科の医師による質の高い画像診断を得たりすることができる。

遠隔読影サービスを導入することにより、読影医が不足している医療機関では作業効率が改善されて読影業務の質が改善されるでしょう。診療時間の圧迫が減少し、より多くの患者に対応できるのも利点です。過疎地域や離島などの専門医が在籍していない医療機関では、都市部でレベルの高い専門医の読影を受けられる可能性が高まります。

イリモトメディカルの遠隔読影サービスは、30名以上の放射線科専門医や各科の専門医が読影に対応し、医療機関で生じている読影医不足の状況をサポートいたします。薬事承認済みの高精度AIも活用しながら見落としを徹底的に予防し、安定した読影が可能です。

遠隔読影サービスの利用を検討されている方は、お気軽にご相談ください。

<遠隔読影サービスの詳細はこちら>

資料請求

Document Request

資料請求

資料請求

Contact

お問い合わせ

03-6897-8977

定休日:土・日・祝日

お問い合わせ
資料請求