Column コラム
2024.11.20
地方で医師不足にお困りの方へ。遠隔読影サービスがおすすめの理由を解説
地方の医師不足は深刻な問題となっており、医療サービスの質の低下や医師の過重労働につながる可能性が懸念されています。そんな地方の医師不足に対する効果的な解決策として、遠隔読影サービスが注目されていることをご存知でしょうか。
この記事では、地方の医師不足の現状と問題点や、遠隔読影サービスがどのように支援できるかなどを詳しく説明します。医師不足に悩む地方の医療機関の方々は、遠隔読影サービスを導入するメリットや具体的な始め方までわかる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
地方で医師不足が起きているのはなぜ？
地方で医師不足が起きている主な理由は、医師の臨床研修制度の変更と、医師の志向の変化にあります。
2004年に始まった新しい臨床研修制度により、大学を卒業した新人医師が研修先を自由に選べるようになりました。その結果、多くの新人医師が都市部の病院を研修先として選ぶ傾向が強まっています。さらに、3年目以降の専門研修においても都市部の病院で研修を続ける医師が増えているため、医師の都市部への偏在が進んでいるのです。
また、医師の志向にも変化が見られます。以前は大学病院で学位を取得することが重視されていましたが、近年では専門医資格の取得を目指す医師が増えています。専門医資格を取得するために、大学病院よりも患者一人ひとりに向き合う時間が長くなりやすい市中病院が選ばれやすいことも、都市部の集中につながる原因です。
さらに、地方の病院では少ない医師の数で多くの患者を診る必要があり、労働環境が厳しくなりがちです。そのため、労働条件や生活環境の面でも、都市部の病院のほうが魅力的に映る傾向があります。
これらの要因が重なり、地方での医師不足が深刻化しています。
地方で医師不足が起きている都道府県
日本ではほとんどの都道府県で、地方における医師不足が深刻な問題となっています。2022年の厚生労働省の発表によると、医療施設に従事する10万人あたりの人口で比較した場合、それぞれの都道府県内でも大きな格差が見られます。
例を挙げると、北海道全体では10万人あたり254.0人の医師がいますが、札幌市に限ると337.9人と大きく増加します。同様に、岡山県全体では324.0人であるのに対し、岡山市では429.8人と、県庁所在地に医師が集中している傾向が著明です。
これらの結果から、多くの都道府県内において都市部へ医師が流出し、地方での医師不足が起きていることが推測されます。上述した傾向は全国的に見られ、地方の医療体制の維持に深刻な影響を与えています。医師の地域偏在を解消し、地方の医療サービスを充実させることが、今後も重要な課題です。
地方における医師不足の問題点
地方の医師不足が起こると、さまざまな問題が生じる可能性があります。特に懸念されるのは、患者の集中による医療サービスの質の低下です。
医師不足が起きている地方では、全ての患者が中核病院や特定の病院に集中する傾向があります。それにより、医師のマンパワーが不足して十分な医療サービスを提供することが難しくなります。
高度な医療を要する患者や救急患者だけでなく、リハビリが必要な患者や要介護者まで同じ病院に集中することで、医師の業務量が増大し、作業効率が低下するのです。
このような状況では、患者一人ひとりに十分な時間を割けず、診療の質が低下するでしょう。医師の過重労働によるバーンアウトや医療ミスのリスクも高まります。
地方の医師不足に対する解決策
地方の医師不足に対する解決策として検討されているのは、臨床研修制度の見直しや、都市部から地方への医師の派遣などです。
臨床研修制度の見直しでは、地方での研修を促進するような制度を設計することで、若手医師の地方への定着を図ることが期待されています。また、経験豊富な医師を一定期間、都市部から地方へ派遣することで、地域医療の質の向上や、若手医師の育成を同時に実現できる可能性が高まります。
その他、医師の作業効率を即時に向上させる方法として注目されているのは、企業の遠隔読影サービスの導入です。遠隔読影サービスにより、地方の医療機関でも都市部の専門医による高度な画像診断を提供できるようになり、限られた医療資源を効果的に活用できます。
地方の医師不足を解消する遠隔読影サービスとは
企業などが提供している遠隔読影サービスは、地方の医師不足によって起こる問題を改善できる可能性があります。概要や仕組みについて詳しく見ていきましょう。
遠隔読影サービスについて
遠隔読影サービスは、地方の医師不足や、放射線診断専門医の不足による作業効率の低下を解消するのに適したサービスです。病院やクリニックで撮影したCTやMRIなどの医療画像を、インターネットを介して別の病院や企業に送信して読影を依頼することで、画像診断レポートを得ることが可能になります。
これにより、地方の医療機関でも高度な画像診断が可能となり、患者は地元で質の高い医療サービスを受けられるようになります。24時間365日対応可能なサービスを選べば、緊急時の迅速な診断も可能になるでしょう。
遠隔読影サービスを導入すると、地方の医療機関は専門的な画像診断能力を獲得し、診断の質と効率を向上できます。結果として地域医療の質の向上につながり、患者の健康管理に大きく役立ちます。
遠隔読影サービスの仕組み
遠隔読影サービスの基本的な仕組みは以下のとおりです。
- 人間ドックや健康診断で通常どおり医療画像を撮影します。医療画像の撮影は、適切な読影業務のために十分な品質となるよう実施します。
- 撮影された医療画像と必要な患者情報を、依頼先の企業や病院へオンラインで送信します。その際、個人情報を保護するためのセキュリティ対策も講じます。
- 依頼を受けた企業や病院の読影医が、受信した画像を詳細に分析します。多くの場合、放射線診断専門医や各診療科の専門医などが対応します。
- 読影医が診断結果をレポートにまとめます。読影レポートには異常の有無や詳細な所見とあわせて、追加検査や治療の提案内容なども含まれる場合があります。
- 完成したレポートは、安全なネットワークを通じて依頼元の医療機関に送信されます。
多くのサービスでは、複数の読影医によるダブルチェックシステムを採用しています。ダブルチェックにより、がん検診などの見落としのリスクを減らし、より信頼性の高い診断結果を提供することが可能です。
さらに、人工知能（AI）技術を活用して、読影の補助や効率化を図る取り組みも始まっています。AIが人間の目では見逃しやすい微細な変化を検出した後、経験豊富な読影医による確認も併せておこなうことで、より精度の高い診断結果が得られるのです。
遠隔読影サービスは技術の進歩とともに進化を続けており、地方の医師不足問題に対する有効な解決策の一つとして期待されています。
地方の医師不足に遠隔読影がおすすめの理由
地方の医師不足の問題に対し、遠隔読影がおすすめされる理由は以下の3つです。
- 読影医の不足が解消する
- レベルの高い専門医の読影が受けられる
- 診療時間の圧迫が減る
それぞれ説明していきます。
読影医の不足が解消する
地方の医療機関では読影医などの医師不足が深刻な問題になっており、遠隔読影サービスの導入によって、問題を大幅に改善することが期待できます。人間ドックや健康診断で必要な読影業務を、遠隔地の放射線診断専門医に依頼できるため、医療機関の読影医の負担が軽減されます。遠隔読影により、地方の限られた医療資源を効率的に活用し、より多くの患者に対応することが可能になるのです。
レベルの高い専門医の読影が受けられる
遠隔読影サービスをおすすめする理由として、地方で医師不足が生じていても、都市部の高度な専門性を持つ医師の読影が受けられることがあります。遠隔読影では、放射線診断専門医や各診療科の専門医が、最新の知識や豊富な経験を活かして質の高い読影業務をおこないます。
それにより、地方の医療機関でも都市部と同等の読影レポートを得ることが可能です。患者にとっては、地方に滞在しながら高度な医療サービスを受けられるメリットがあります。
診療時間の圧迫が減る
地方の医療機関で遠隔読影サービスを利用することによって、医師不足による読影業務の負担が大幅に軽減され、診療時間の圧迫が減少します。医師は読影業務に充てていた時間を、患者の診察や他の重要な医療業務として利用でき、効率の向上につながります。結果として医療サービスの品質向上にもつながり、患者の満足度が高まる可能性が期待できるでしょう。
さらに医師は空いた時間を研究や自己研鑽に充てることも可能です。最新の医療技術の習得に時間を咲くことで、地方で医師不足が起きている状況でも、医療レベルの底上げにつながる可能性があります。
地方の医療機関における遠隔読影サービスの始め方
地方の医療機関で遠隔読影サービスを始めるときの手続きについて詳しく解説します。
サービスの選択・問い合わせ
遠隔読影サービスを利用する場合は、さまざまな企業が提供するサービスを比較検討することから始めます。各企業によってセキュリティ対策やサポート体制などの特徴や強みが異なります。
以下の点に着目して比較すると良いでしょう。
- 読影医の数や専門資格の有無
- 読影レポートの返却時間
- セキュリティ対策の内容
- カスタマーサポートの充実度
- AIなどの最新技術の活用状況
気になるサービスが見つかったら、それぞれの企業に問い合わせてみましょう。
医療機関の具体的なニーズや懸念される点についても挙げておくことが大切です。
提案依頼
複数の気になるサービスの企業に提案を依頼し、提示された条件などを比較検討しましょう。各企業の提案内容を比較することで、医療機関のニーズに最も合致するサービスを選択できます。
サービスの具体的な内容や特徴だけでなく、緊急時のサポート体制の詳細や、読影やトラブル時の対応時間などを確認しておくことが大切です。また、契約してからサービスが開始するまでのスケジュールも、企業の繁忙期や導入するインターネット回線の種類によって大きく異なるため、事前に相談すると良いでしょう。
ネットワークの準備・初期設定
選択したサービスの導入が決まった後は、ネットワーク接続や医療用画像管理システムなどの準備が必要です。インターネット回線の種類や既存のシステムとの連携によって、準備に要する時間は異なります。多くの場合、初期設定まで依頼先の企業で対応してくれるでしょう。
この過程でおこなわれる主な作業は、以下のとおりです。
- 専用のインターネット回線の設定もしくは既存の回線の設定変更
- 専用のセキュリティ対策ソフトの導入
- 医療用画像管理システムのインストールと設定
- 既存の院内システムとの連携設定
作業中も医療機関の担当者は進捗を確認し、必要に応じて情報提供などをおこなう必要があります。
サービスの利用開始
ネットワークの準備と初期設定が完了したら、遠隔読影サービスを利用開始できます。ただし、サービスを利用開始するにあたり、現場の医療スタッフへの研修が重要になります。研修では、システムの操作方法だけでなく、個人情報保護の重要性と具体的な対策について十分な説明が必要となるでしょう。
緊急トラブル時に対応するときの手順や連絡体制についても、医療スタッフ全員が理解しておく必要があります。サービス開始直後は運用上の課題や改善点が見つかることも多いため、依頼先の企業・病院と連携して迅速に対応することも重要です。
まとめ
地方の医師不足は、日本の医療体制が直面している重要な課題の一つです。新しい臨床研修制度の導入や医師の志向の変化により、多くの医師が都市部に集中することで地方の医師不足が深刻化しています。地方の医師不足は、医療サービスの質の低下や、医師の過重労働につながる可能性があります。
地方の医師不足に対する解決策として注目されているのが遠隔読影サービスです。遠隔読影サービスを活用すると、地方の医療機関から遠隔地の放射線診断専門医に読影を依頼できるため、限られた医療資源のなかでも効率よく医療を提供できるでしょう。
医師不足の解消とともに診療時間の圧迫も減少し、より多くの患者に対応できるようになります。
イリモトメディカルの遠隔読影では、30名以上の放射線診断専門医や各科の専門医が読影に対応しながら、地方の医師不足による問題解決をサポートいたします。薬事承認済みの高精度AIを使用しながらがん検診の見落としを徹底的に予防し、安定した読影が可能です。
遠隔読影を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
