Column コラム

2024.09.20

遠隔読影の費用相場とは?価格や注意点など分かりやすく解説

遠隔読影の費用相場とは?価格や注意点など分かりやすく解説

読影医や専門医が不足していたり、業務の効率化を図りたいと考えたりしている医療機関では、遠隔読影サービスの利用を視野に入れることがあるでしょう。

しかし、初期費用はどれくらい必要なのか、ランニングコストを支払い続けられるのか、採算はとれるのかなど気になる点が多くあることと思います。

そこでこの記事では遠隔読影サービスの費用相場や、費用をできるだけ抑えるコツ、依頼する前に費用の相場以外で確認すべきポイントなどをお話しします。遠隔読影サービスの導入を検討している方は参考にしてみてください。

遠隔読影について

遠隔読影について

遠隔読影とは、病院やクリニック、健診センターなどで撮影した画像を専門の企業や病院へ送信し、外部の専門医に画像診断を依頼できるサービスです。画像診断だけでなく読影レポートも作成してもらえるため、読影医が不足していたり、業務効率化が必要だったりする医療機関において負担を軽減できるなどの利点があります。

遠隔読影を依頼するとき、医療機関は診療中に画像を撮影した後、ネットワークを通じて企業や病院に送信します。画像が送信された後は、企業や病院の読影医師の対応です。見落としのないように画像診断をおこなった後、診断結果や所見、推奨される治療法などを記載したレポートを作成し、医療機関に返送する仕組みになっています。

なかでも遠隔読影サービスを提供している企業は多くあり、サービスの特徴や費用の相場もさまざまです。遠隔読影サービスを比較・検討する場合には、事前に費用の内訳や相場を詳しく知っておく必要があるでしょう。

また、遠隔読影と似た用語に「遠隔画像診断」がありますが、どちらも大きな意味の違いはありません。

遠隔読影サービスの費用の相場

遠隔読影サービスの費用の相場

企業の遠隔読影サービスの費用は初期費用と月額費用、読影費用、部位加算、スライス加算、時間外対応料金から成り立ち、相場はそれぞれ異なります。

クラウド型であれば、初期費用や月額料金を不要にし、読影時の費用だけ徴収する企業もあります。遠隔読影の頻度が少なく、必要な場面だけ依頼する程度であれば、そちらのほうが向いている可能性もあるため確認してみると良いでしょう。

部位加算やスライス加算は診断の精度をより高めるための費用ですが、不要にしている企業もあります。

初期費用の相場

遠隔読影サービスを導入するときは、初期費用が必要になる企業が多く、相場は数万〜数百万円と幅が広いです。初期費用の内容は企業によって異なりますが、インターネットの接続費用やシステムの導入費用、サポート費用などが含まれている場合の相場は5万〜20万円ほどになります。

オンプレミス型だと、専用回線や端末の設置工事が必要になるため費用の相場が高くなりやすいです。電子カルテから直接読影の依頼ができるシステムを導入したり、院内で医療用画像管理システム(PACS)やレポートを各端末で見られるように連携したりすると、相場は50万〜300万円ほど追加になります。

月額費用の相場

月額費用の相場は3万〜8万円ほどです。費用の内訳にはシステムの運用費用のほか、データの管理費用なども含まれます。相場はサービスを導入するパソコンの端末の台数によっても異なります。

読影費用の相場

読影費用は、読影を依頼するときに毎回加算される費用で、相場は1件500円〜3,500円ほどです。CT検査やMRI検査、マンモグラフィなど、種類ごとに費用を設定している企業や、一律にしている企業があります。

検査1件あたりの費用相場
CT検査2,000〜3,500円
MRI検査2,500〜3,500円
マンモグラフィ1,300〜2,000円
胸部単純撮影550〜900円
胃部造影撮影850〜1,200円

部位加算の相場

部位加算は複数の部位を読影するときに加算される費用のことで、相場は1部位1,000〜3,000円ほどです。必要な部位をより効果的に撮影し、診断の精度を高めるために設定されています。読影する部位の指定数が一定を超えると加算されることもあり、複数の部位の読影を依頼する場合は、部位ごとの加算費用が必要になります。

スライス加算の相場

スライス加算はCT検査やMRI検査において、スライス数が一定以上の枚数を依頼するときに追加される費用のことで、相場は枚数分の費用になります。検査によっては依頼枚数を増やすことで、診断の精度をより保てる利点があります。

時間外対応料金の相場

時間外対応料金は、土日祝日や夜間などの時間外で読影依頼をした場合の追加料金で、1件あたりの相場は500〜1,000円ほどです。時間外のサービスに対応していない企業もあるため、24時間稼働している医療機関で検討したい場合は事前に確認しましょう。

遠隔読影サービスの費用を抑える方法

遠隔読影サービスの費用を抑える方法

企業の遠隔読影サービスの導入費用をできるだけ抑える方法は以下の3つです。

  • 不必要なサービスを省く
  • ネットワークをクラウド型にする
  • 数社から見積もりを受ける

それぞれ見ていきましょう。

不必要なサービスを省く

遠隔読影サービスの費用をできるだけ抑えたい場合は、不必要なサービスが含まれていない内容を選びましょう。遠隔読影は企業によってさまざまなサービスが設定されています。例えば、夜間診療がないクリニックであれば、24時間対応してくれる緊急トラブルのサービスを省くだけでも月々の費用の相場が安くなるでしょう。

システムをクラウド型にする

システムをオンプレミス型でなくクラウド型にすると、通信回線の設置にかかる料金が抑えられ、初期費用が少なくなります。専用機材や通信回線を準備する必要がないため、サービスの利用をスタートするまでの時間が短くなるのも利点です。オンプレミス型かクラウド型のどちらを提供しているかは、企業によって異なります。

数社から見積もりを受ける

遠隔読影サービスの相場を比較するときは、必ず複数の企業から見積もりを受けましょう。特に企業によって初期費用の相場は大きく異なります。

こちらが希望する条件をすり合わせながら数社に見積もりを出してもらうと、費用の相場が見比べやすくなるでしょう。但し、価格だけを比べることは、サービスの質の差を見落としてしまいますので、注意が必要です。

遠隔読影サービスの選び方

遠隔読影サービスの選び方

さまざまな企業から遠隔読影サービスを選ぶときは費用の相場だけでなく、サービス内容や企業の特徴を確認するのが大切です。対応している検査内容や、読影依頼からレポート返送までの時間、サービスの対応時間、セキュリティーマークの有無などもチェックしておきましょう。

依頼したい検査内容の有無

遠隔読影サービスをさまざまな企業から選ぶときは、依頼したい画像診断検査が含まれているか確認しましょう。企業によって対応できる検査項目は異なります。

CT検査やMRI検査、マンモグラフィ、脳ドック、胃部造影、胸部単純写真、PET検査など、依頼したい検査項目や将来依頼する可能性のある検査項目が含まれている企業を選ぶと良いです。検査に合った専門医師が企業に在籍していれば、より信頼性の高い診断結果が得られるため、その点も確認できると良いでしょう。

レポート返送までの時間

費用の相場だけでなくレポートが返送されるまでの時間も、遠隔読影サービスを選ぶときに確認すべきポイントです。読影を依頼してからレポート返送までの時間は、2〜3営業日ほどかかることが多いですが、別途料金を支払うことで1時間以内に返送してもらえるケースもあります。在籍している読影医師の人数などによって決まることもあるため、確認してみると良いでしょう。

読影サービスの対応時間

24時間稼働している総合病院や大学病院、入院病床があるクリニックなどは、土日祝日や夜間に遠隔読影を依頼できる企業を検討しても良いでしょう。遠隔読影サービスを提供している企業のなかには、追加料金を支払うと24時間365日対応してもらえるところもあります。オペレーター対応などで、読影以外の緊急時のトラブルにも対応してもらえる企業を選ぶとより安心です。

セキュリティ対策の精度

遠隔読影はネットワークを介して患者の個人情報や画像情報を送るため、セキュリティ対策は必須になります。個人情報や画像情報の漏洩が心配な場合は、セキュリティ対策に力を入れている企業を選びましょう。ISMSやプライバシーマーク(Pマーク)を取得している企業は、個人情報を適切に管理していると評価されている企業です。

遠隔読影サービスの導入の流れ

遠隔読影サービスの導入の流れ

企業が提供する遠隔読影サービスを導入する流れは以下の手順になります。遠隔読影サービスを提供している企業を探すときは、あらかじめ費用の予算を決めたうえで検索してみましょう。

問い合わせ・見積もり

気になる遠隔読影サービスが見つかったら、ホームページの問い合わせフォームや電話などで問い合わせてみましょう。その後、こちらが希望する内容を提示したうえで、初期費用や月々にかかる費用について見積もりを依頼します。

導入時に必要となる準備期間や初期費用でかかる金額、読影を依頼できる内容と費用を明確にした後に契約に移ります。費用の相場を把握したりやサービス内容を比較するために、見積もりは複数社から受けるのがおすすめです。

ネットワークなどの下準備

費用相場が確定し、見積もりと契約が済んだ後は、ネットワークの接続や医療用画像管理システム(PACS)などの必要なシステムの導入をおこないます。ネットワークがオンプレミス型だったり、サービスを導入・連携するパソコンの端末数が多かったりすると下準備に時間がかかることがあります。

ネットワークの接続やシステムの導入が済んで正常に可動するようになった後は、医療スタッフに使い方の伝達が必要です。研修を利用して使い方を説明し、実際の場面でトラブルが起きないようにトレーニングしてもらいます。

サービスの利用開始

下準備が済んだら遠隔読影サービスの利用を開始します。遠隔読影では医療機関で画像を撮影した後に、企業へ画像を送信して依頼した後、企業から読影結果などの情報が記載された読影レポートが返送されます。

精度の高い読影結果が返送されるため、専門医師が不足している地域や小規模な医療機関にとっても役立つサービスです。システムの操作中にトラブルがあった場合は、企業のサポートセンターに連絡しましょう。

遠隔読影サービスの注意点

遠隔読影サービスの注意点

企業が提供する遠隔読影サービスの利用を始めるときは、初期費用や月々にかかる費用の相場以外にも、画像診断管理加算に注意する必要があります。後に「こんなはずじゃなかった」とならないよう、事前に学んでおきましょう。

画像診断管理加算がつかない

遠隔読影サービスは画像診断管理加算がつかないことがある点に注意が必要です。画像診断管理加算は、放射線の専門医師や読影に携わる医師が画像診断をする医療機関に対して認められる診療報酬の加算のことです。

厚生局へ遠隔画像診断施設基準の届出を提出し、指定された条件を満たしたうえで、病院間での遠隔読影をおこなう場合は、画像診断管理加算が算定できます。しかし、2024年10月時点では、企業やNPO法人の画像診断センターによる読影依頼サービスを導入している医療機関は、診療報酬に加算がつかなくなるため注意しましょう。

なお、画像診断管理加算を請求できる遠隔読影を提供すると宣伝している企業がありますが、不正請求にあたる可能性もあります。注意が必要です。

まとめ

遠隔読影の費用相場とは?まとめ

企業が提供する遠隔読影サービスの費用には初期費用と月額費用、読影費用、部位加算、スライス加算、時間外対応料金があり、それぞれ相場が異なります。初期費用はネットワーク回線の設置費用やサポート費用、システムの導入費用などが含まれており、特に相場の幅が広いです。

遠隔読影サービスの費用をできるだけ抑えるためには、不必要なサービスを省いたり、ネットワークをクラウド型にしたりすると良いでしょう。遠隔読影サービスを選ぶときは費用の相場以外にも、検査内容やレポート返送までの時間、読影サービスの対応時間について確認するのが大切です。

イリモトメディカルの遠隔読影では、精度の高いAI技術を活用しながら、30名以上の経験豊富な放射線診断専門医と各科の専門医が読影に対応いたします。読影のご依頼は専用のクラウドストレージを通して可能で、お急ぎの場合の納期にも対応いたします。

ご相談や見学会、お見積りは無料で承っていますので、院内での読影についてお悩みの方はぜひご相談ください。

<遠隔読影サービスの詳細はこちら>

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