Column コラム

2019.07.31

STEMSセミナー2019の当番世話人を務めて

STEMSセミナー2019の様子

2019年7月13-14日、ハワイのホノルルで開催されたSTEMSセミナー2019の当番世話人を煎本が務め、開催・参加してまいりました。
STEMSとはStat Tele-Emergency Medical Support(迅速遠隔医療支援)の略で、日本の深夜の救急画像を時差を利用してハワイや米国西海岸の日本人放射線科医が読影するという事業を検討するセミナーで、今年は7回目になります。
開催前日の12日は代表世話人の北之園高志先生(ホノルル在住)主催のBBQ前夜祭で、ビーチに面したアラモアナパークで北之園先生ご自慢のトマホークステーキを堪能しました。
今回の会場はシェラトン・ワイキキ・ホテル、オーシャンフロントの素晴らしい会議室を準備することができました。

第一日は特別講演や日本とのライブデモなど、盛りだくさんなプログラムです。
まずは、北之園先生の” Stat Tele-Emergency Medical Supportの経緯と現状、今後の展望”と題した基調講演で、現状の報告とともに、本事業を用いて留学生を受け入れる計画についてお話がありました。
特別講演はホノルルでクリニックを開業されている小林恵一先生の「激変するアメリカの医療制度」と題した講演。開業医の目から見たオバマケアのシビアさやメディケア改革の厳しさをユーモアを交えてお話下さいました。こんなお話を日本語で聴けることなんて、ありえない企画です。これだけでも来た価値がありました。
ライブデモは日本国内の病院の救急部と結んで、リアルに来た2症例を検討しました。北之園先生がクラウドシステムを用いて読影し、Skypeを用いた会場の参加者と日本の救急部長の先生とのディスカッションはスムースで、白熱しました。これなら、海外の先生も参加した救急カンファレンスも可能だと確信しました。ハワイに来た言い訳ではありませんが、これだけは現地と繋がないと、ネット環境依存のクラウドシステムの使用感、Skypeの状態などは検証できません。

懇親会はシェラトンホテルのビュッフェディナーで大変美味しく、皆さん満足していただきました。プールサイドからは月と木星が美しく並んでいるのを望むことができました。

STEMSセミナー2019、2日目はシンポジウム「Killer diseaseを見逃さないために」と題したシンポジウムを行いました。
中島康雄聖マリアンナ大名誉教授から日本医療安全調査機構医療事故調査分析センター「救急医療における画像診断に係わる死亡事例の分析」について報告していただきました。この報告は同センターに報告された救急画像診断にかかわる死亡事例の報告で、12例の救急画像診断の不備による死亡事例が分析されており、放射線科医の関与の重要性が求められています。

 https://www.medsafe.or.jp/uploads/uploads/files/teigen-08.pdf
 医療事故の再発防止に向けた提言 第8号「救急医療における画像診断に係る死亡事例の分析」
 医療事故調査・支援センター 一般社団法人 日本医療安全調査機構 2019年 4 月

とは言っても、国内の休日夜間の放射線科医の供給は困難で、時差を用いた海外放射線科医の有効活用のSTEMSの取り組みをどのように増やすかが真剣に議論されました。
聖マリアンナ医大の松本純一先生からは最近提唱されだした災害時被災者のトリアージにCTを用い、その診断を離れた全世界で遠隔診断を行うという大変興味ある企画について報告されました。
その後、参加者によるフリー討論が行われましたが、診療放射線技師の救急画像診断への関与などのホットなテーマで盛り上がりました。この会への放射線技師の参加も呼びかけていく必要があるあると思われます。

短い日程でしたが、日本の救急画像診断をさらに安全なものにするための多くの示唆が明らかになったセミナーで、当番世話人としてもちょっとホッとしてホノルルを離れることができました。
参加者、事務局の皆さん、ホノルルでホストをしていただいた北之園先生、ありがとうございました。
来年も7月23日の海の日の連休で開催の予定です。多くの皆様の参加をお待ちしております。

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